テリー・ギリアムのぺえじ

私が一番好きな映画監督テリー・ギリアムについてかいてみたりしてみます。ていうか、単なる思い出話だったりするけど(笑)


テリー・ギリアムとは

モンティーパイソンの中で唯一のアメリカ人でアニメーター担当。「空飛ぶモンティパイソン(フライングサーカス)」ではたまに出演してるけど、他のメンバーが演技がうまいのに比べて、ギリアムはダイコン役者で(笑)、そのためか、あんまり出演はしてません。印象に残ってるのって、「スペイン宗教裁判」とかアムネスティでのパイや柱でのコントとかかな。フライングサーカスでは、他のメンバーとは別で動いていて、できあがってきたコント(スケッチ)とコントをつなぐ為のアニメーションを作るといった役割をしてたみたいです。しかし、その後、映画監督としてメキメキ頭角を表し、モンティのメンバー中、今や最も有名でしょう。


(監督)作品について

  • 「ジャバーウォッキー」(1978)
  • 「バンデットQ」(1981)
  • 「未来世紀ブラジル」(1985)
  • 「バロン」(1988)
  • 「フィッシャーキング」(1991)
  • 「12モンキーズ」(1995)
  • 「FEAR and LOATHING in LAS VEGAS(原題)」(1998)日本公開は1999年
  • この他に「モンティパイソン・アンド・ホーリーグレイル」を共同監督したり「モンティパイソン人生狂騒曲」のオープニングの短編映画(クリムゾン)を監督したりもしてます。出演てことだと、モンティパイソンの各作品や「スパイ・ライク・アス」とか。


    「バンデットQ」TIME BANDITS

    この作品は、私がギリアムそしてモンティと知り合った思い出深い作品です。あれはなんでっだったのかよくわかんないんですけど、「バンデットQ」公開時、私は小学5年生。モンティとかギリアムを知ってるわけじゃないのに、なぜかこの映画を大注目。公開初日に劇場に並んでみました。超大作とかだと徹夜で並んだりする人がいるじゃないですか。そんなに混むと思っては当然いなかったけど、まあ1時間ちょっと前ぐらいに、今はなくなってしまった新宿ロマンちゅー映画館に行ったのですよ。そしたら、並んでるどころか誰一人いませんでした(笑)。しかも、映画館のおばちゃんに、「時間間違えたの?」とかまで言われて(笑)、寒いだろうと劇場の中に入れてもらって、中でしばらく待ってました。そんな「バンデットQ」との出会い。

    ところで、この映画、今でこそビデオとかで完全版が見れるのですけど、当時の劇場公開版はいくつかカットされていたシーンがありました。モンテイパイソンのメンバー・ジョンクリーズ紛するロビンフッドの話と、巨人の頭についてる船での人食い鬼の話。そんでもって、ラストで主人公の両親が爆発するシーン。ここら辺がカット。これなんでかっていうと、あくまで推定なんですけど、この映画、地方で公開された時は「幻魔大戦」が併映。そーいう時によくあるのが時間が長いってんで尺を短くするんです。あと、当時の宣伝とかみると、映画会社が家族向け映画として売りたがってたみたいなんです。両親が爆発しちゃうなんてあんまりじゃないですか。だから、そういうシーンをカットしたんでしょう。

    でも最後のクレジットのトコロで、主人公の少年が映画中に撮った写真が次々とバックにうつるんですが、映画でなかった(カットされてた)ロビンフットの写真とかがあるわけですよ。なんだ、あのシーンはって。観たくてしょうがないわけです。海外で出てるビデオではノーカットだって聞きつけて、当時はレンタルビデオ屋とかちゃんとしたのがなかったんです。1本1,000円とかで、ダビングしたテープを貸してくれるなんて、今から思うととんでもないシステム。入会金も5,000円とか。でも、そのレンタル屋に頼んでみたら、わざわざ輸入LDで仕入れてくれて、それをダビング(ダビングは3,000円とかでした)してくれました。小学生からはあんまりだという事で、入会金もタダにしてくれましたし。で、はれてノーカット版を見れたわけなんです。もちろん字幕無なんですけどね。

    この映画、ハンドメイドフィルムスというジョージハリソンがモンティの為に作った映画会社の制作で、主題歌と制作もジョージハリソンだったんです。あとちょっとした役でショーンコネリーが出ている。宣伝でも見事、ショーンコネリーやジョージハリソンが一番大きくのってました(笑)。ちらしは2種類あったんですが、通常版は普通のものでこちら。あともう1種類がこちら。見てもらえばわかりますけど、ジョージハリスン大特集って感じで何が何だかわかりません。もちろんジョージはでやしないのに。しかもキャッチコピーの「オライナエ少年になれ少女になれ」って言われてもねえ(笑)。映画の主題歌の「DREAM A WAY」って曲の邦題が「オ・ラ・イ・ナ・エ」なわけなんですけど、もちろん映画と関係ありません。バンデットQのQもわかんないですよ。6人の小人Qって言われても、なんでQなんだ。

    映画の前売り特典で海外版ポスターが貰えました。すごくかっこいいヤツだったんですけど、捨てちゃいました。日本版のも、ちらしになってるイラストのと実写をコラージュしたのと2種類。全部持ってたけど、全部捨てちゃったんだよなー。もったいない事しました。


    「未来世紀ブラジル」BRAZIL

    ギリアムの最高傑作ってだけじゃなくて、私が全ての映画の中で一番好きな作品。「バンデットQ」「ブラジル」「バロン」の3本が、ギリアムが夢について撮った3部作です。

    しかし、この邦題、ちょっとどうかと思います。映画自体は近未来を描いた映画ですけど、20世紀のどこかって設定で、実は現代を描いてるわけなんですね。なんかこの邦題じゃ、未来のブラジルを描いた映画みたいじゃないですか。主題歌に「ブラジル」という曲を使ってるって事でこういう原題がついてんのに、こういうタイトルにしちゃだめです。

    映画公開当時は、全然しらないで見てしまったんですけど、公開にあたって、アメリカでは一騒動があったそうです。ギリアムがこの映画を完成したのはいいけど、最後のアンハッピーエンドに映画会社が不満を持ち、予定してた時間を超えていたことをタテに作り直しを要求。そんなユニバーサル(映画会社)とギリアム(監督)との戦いがありました。ギリアムが時間を短く編集しなおしたにもかかわらず、公開させて貰ず、結局、秘密上映会をおこなったりして、ロサンゼルス映画批評家賞の最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞ととってしまいました。未公開の映画がそんな事になっちゃったわけで、ユニバーサルも公開せざるをえなくなり、結局公開。ものすごくはしょってますが、この話は「バトル・オブ・ブラジル〜『未来世紀ブラジル』ハリウッドに戦いを挑む〜」って本に詳しくかかれてるので、興味を持った人はそっちの方をどうぞ。

    でもって、めでたくギリアム編集版が公開されたわけなんですけど、映画会社がたくらんでいた通称シャインバーグ版(ユニバーサルの社長の名前)ってのがあります。これは、尺も50分ぐらい短ければ、カットもめちゃめちゃ、ボツ映像とかも使って、最後はめでたしめいでたしのハッピーエンドになっているバージョンなんです。アメリカで発売されてるブラジルのBOXセットでようやくそのシャインバーグ版を見れました。こんな作品にならないでホントよかったとそんな気持ちです。

    とはいっても、本を読んだり、ブラジルLDBOXでのスケッチとかみると、資金の関係で実現しなかったシーンが一杯あるんですよね。ただでさえすごい映画なのに、これが実現してたらどうなるんだろうって思います。サントラのジャケになったりにしてるのも、知識貯蔵庫というボツになってしまったのシーンの一つです。


    その他

    一大事トラブルがあった「ブラジル」の後に作った「バロン」も一騒動あったみたいです。イタリアのフェリーニとかの映画のスタッフを使って撮影と、プロデューサーが段取りしたのはいいけど、それがとんでもない費用がかかる話で、それがわかった頃にはプロデューサーは逃走。なんかはるかに予算オーバーで、結局とりたいシーンもとれないなんて事があったそうです。この話も本になってるんですが、日本語訳が出てません。誰かなんとかして下さい。

    そんなトラブルが続いちゃったせいだか、なんだか、ギリアムには好きな映画を撮らしてくれなくなっちゃったようです。続く「フィッシャーキング」「12モンキーズ」など、これらは他人の脚本。いわば雇われ監督としてしか使ってもらえてないみたいです。やっぱギリアムオリジナル脚本ですごい映画をみたいのに、これは残念。いろいろ企画はあるみたいなんだけど、映画会社がOK出してくれないみたいです。