健康スペシャル・プロデュース公演「SUNDAY AFTERNOON」

1991年12月14日〜25日 渋谷シードホール


私達の舞台では、いつも”死”がなんらかの形で語られる。ここ数年はその傾向がますます深化し、「愛と死」などという題名の芝居までやってしまったほどである。
 そんなワケで、今回の物語もある女性の死が軸となって進められていきます。死はある日突然やってくるし、死なない人は多分いません。しかし、だからといって死を恐れるあまり日常生活に支障を来たしてしまっては小劇場もなにもあったものではないでしょう。私は死を描くことによって、自分の死をなんとか客観視しようとしているのかもしれません。
”SUNDAY AFTERNOON”は、どちらかというと死んだ人間よりも残された人々の物語です。当然のことですが、そこには”だから自殺なんかしてはいけませんよ”といったメッセージがあるワケないのでした。
今回は本公演ではなく、スペシャル・プロデュース公演です。プロデュース公演では、いつも私以外の人間が台本を書いたり演出をしたりするのですが、今回は本公演と同様に私が脚本、演出を担当します。それでは一体どこが本公演と違うのか。一部の宣材には”シリアスな”芝居だと宣伝してありましたし、実際最初はどシリアスでいくつもりでしたが、稽古しているうちにこんな風になりました。
 微妙な雰囲気を感じとっていただけたらと思います。映画的、テレビ的な手法を、笑いを目的としない舞台にとり入れてみたら、といういくつかの実験をしてみたのは、岡本喜八監督の旧作に刺激されたからです。
今回、初めて舞台の為のオリジナル音楽を作ってみました。心良く引き受けてくれたロンバケのみんなに感謝します。
最後に、今回の公演の機会を与えて下さったエッチェ・ボンボとシードホールの皆様の努力を讃えて−。

Merry Christmas!!  
KERALINO SANDROVICH.
1991.12 某日.