NYLON100℃ SIDESESSION#1「喜劇 箸の行方」

1994年7月1日〜3日 吉祥寺バウスシアター


箸の行方・プロダクションノート

 今回の芝居、はたして芝居といえるのかどうかわからないが、ともかく「喜劇 箸の行方」という作品は、久し振りに、役者さん達が私や演出助手の山田君と一緒になって台本を書いたり、エチュードを重ねたりして出来上がった舞台だ。演出も私だけでなく、作家を中心にあれやこれや言いながら、最終的には全員で行った。だが待てよ、それって、照明さんに音響操作もやってもらうようなものなんじゃないか?小説家にマンガを書かせるようなものじゃないか?医者に患者もやらせるようなものだ。だんだん例えが適当でなくなってきたようだが、だとしたら、私は役者諸君に甚だ失礼な要求をしてしまったのかもしれない。それがどうした、なんだってんだ、いいじゃないか、失礼な要求大いに結構だ。と開き直っても仕方ないのだが、稽古場では皆楽しそうだったので問題なしということにしておく。それにしてもいろいろな台本が集まった。もちろんボツになったモノもたくさんあった。その中には、一体どういうつもりでこういうもんを書いたのかさっぱり理解出来ないヤツもあり、それではと思って書いた人間に「何を考えてるのか」とたずねてみると本人も自分が何を考えてるのかまるでわかってなかったりして、もう何が何だかといった感じだったのである。また、使用された作品の中には、どのシークエンスかはあえて明かさぬが、ある役者が小学校5年生の時にクラスで催された“お楽しみ会”の為に書いた台本もある。直しを入れずにほとんど原型のまま使ったから、言ってみれば、今回はかねてからの念願だった「ガキに台本を書かせる」を実践出来たことになる。サイド・セッションは、こうしたファジーな試みをイージーに遂行する場として、今後もメイン・セッションの前後に、思い出したようにどこかで演ることになると思う。公演日数は普段の1/4でも、稽古時間が1/5でも、そこにはアレとはまた別の魅力があるからだ。そんじゃま、御無礼致します。

              1994.7.1 AM4:45
                           KERA


Special Thanks ミミナリさん