NYLON100℃ SIDE SESSION#8「ロンドン→パリ→東京」

1999年1月26日〜1月31日 下北沢本多劇場


 年の2月に演った「ザ・ガンビーズ・ショウ」の中の一作、「ガンビーズ絶体絶命」も相当出鱈目な芝居で、僕もお気に入りの一本ですが、あれはブルースカイ、故林広志両氏との共作でしたから、今回の「ロンドン→パリ→東京」は、単独作品としては2年4ヶ月振り、「ビフテキと暴走」以来の純ナンセンス・コメディってことになるのでしょうか。そう考えると、僕も随分浮気なエンゲキニンになってしまったのだなあと感じざるを得ません。昔はこんなんばっかりでした。こうした作品(作品と言ってしまって良いのかすらわかりませんが)に異常に惹かれてしまう人種というのが世の中にはいるもので、僕もきっとその一人なのですが、正直、報われないタイプのステージではあります。愛してもらえないっつーかね。アンケートに「笑ったけどそれだけ」とか書かれちゃったりして、「笑いの為の笑い」が「その他の目的を持った笑い」よりも下だ、という考えはいまのまだまだまかり通ってますね、つくづく、上も下もないと思うんスけど。そんな、「大変な割には評価されない」みたいなところがまた、なぁんか愛おしくて好きになっちゃうんだよね。今年 は12月に「ウチハソバヤジャナイ」の続編も考えてますし、ここ数年より出鱈目なことになりそうです。観終わった後になぁんにも残らなくてすいません。「ロンパリ東京」は、すべての、”そーゆーの好き”な方々に捧げてみようと思います。

 戸川乱歩の少年探偵団シリーズは、小学校1、2年の頃、全巻読破しました。二十面相と明智探偵に少年探偵団を加えた対決は、犯行の予告、人物のすりかえ、奈落への転落といった名場面と共に、殺しを抜きにした智恵比べの面白さが圧倒的で、加えて平明でスリリングな文体の魅力もあり、夜も寝ないで夢中になって読んだものです。そのへんはものすごくフツーでした、僕。そんな思い出を懐かしみながら書いたのが今回の「ロンドン→パリ→東京」です。

 君と政岡君は今回が初参加です。ハイレグや動物電気と異なるであろう環境の中、きっと戸惑いもあったことでしょう、先生わかります。最後まで楽しく演ってもらえたらいいなと思います。二人からの助言にはとても助けられました。それからなんといっても清水宏さん、あなたがいなかったらなぁんとなくボォっとした稽古場になっていたことでしょう。今回の参加、心から感謝しております。というわけで今回もスタッフ及びキャストの絶大なる協力があってはじめて、幕を開けることが出来ました。特に演出助手の伊藤君、吉増君、連日の徹夜、感謝してます、こんど寿司おごります。
 それではお客様、どうぞごゆっくり。

 P.S.恒例のパンフレット、今回もロビーで販売しております。今回はなんと3冊セット。超豪華な執筆陣によるくだらなさ爆発の「探偵手帳」と「旅の手帳」に戯曲もついて1300円です。ぜひ。

1999.1.26 ケラリーノ・サンドロヴィッチ